森岡毅氏は、現代日本のマーケティング業界において、その名を知らぬ者はいないほどの存在です。
「現代最強のマーケター」とまで称される彼は、数々のプロジェクトを成功へと導きました。
なかでも特にユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の業績V字回復については、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
彼のマーケティング手法は、単に商品を売るための技術ではなく、市場への深い理解と、徹底して顧客の心理に根ざした戦略に特徴があります。
そこで今回はその功績や手法を学び、さらに自社の戦略へ活かす方法について考察してみましょう!
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マーケター森岡毅氏とは

森岡毅氏は、日本を代表するマーケターであり、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の再建で知られています。
P&Gでマーケティングディレクターとしての基礎を築き、2010年にUSJに入社。
入場者数の低迷に悩むUSJを、独自のマーケティング戦略「三段ロケット構想」によって立て直し、V字回復を成功させました。
独立後は、株式会社刀を設立し、丸亀製麺の再建や西武園ゆうえんちのリニューアルなど、数々のプロジェクトを手掛けています。
データに基づく分析と顧客視点を重視した戦略が特徴で、テーマパーク事業以外にも、医療や金融分野など幅広い分野で活躍しています。
森岡氏の主な功績

USJの再建
森岡氏が入社した2010年ごろ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は深刻な経営危機に直面していました。
入場者数は低迷し、将来への展望も不透明な状況。そこで森岡氏は来場者を徹底的に観察し、ファミリー層と若年層に焦点を当てたのです。
そして彼らをメインターゲットに見据えた戦略『三段ロケット構想』を立案しました。
まずはロケット構想の第一段として「ユニバーサル・ワンダーランド」をオープン。スヌーピーやハローキティなど子供に人気のキャラクターたちが住んでいるという設定のこのエリアは、狙い通りファミリー層で溢れかえりました。
そして次のロケットとして打ち出したのが、あの「ハリーポッター」エリアの制作です。
実は「ユニバーサル・ワンダーランド」にはこの制作のための資金調達という目的がありました。そこに成功した森岡氏は、計画どおりに「ハリーポッター」を完成させ、これがUSJの業績回復に直接繋がったのです。
結果として、入場者数は750万人から1390万人へと増加しました。さらに客単価も大幅にアップしていたことから、USJは一気に経営危機から脱却。見事なV字回復を達成しました。
この森岡氏のUSJ再建ストーリーは、マーケティング戦略の重要性を広く示した事例として、多くのビジネスパーソンに影響を与えました。
丸亀製麺の再建
森岡氏は独立後、株式会社刀として丸亀製麺の再建においてもその手腕を発揮しました。
同社は、丸亀製麺が直面していた課題を徹底的に分析し、わずか半年で業績をV字回復させることに成功しました。
この成功の鍵は、森岡氏が打ち出した新たなブランディング戦略にあります。
従来の丸亀製麺は、価格の安さや手軽さを売りにする一方で、ブランドイメージが曖昧であり、顧客層も限定的でした。
そこで森岡氏は、丸亀製麺の原点に立ち返り、品質の高さと手作りの価値を前面に押し出す戦略を採用しました。
「ここのうどんは、生きている。」というキャッチコピーは、その象徴です。この言葉は、丸亀製麺が店舗で手作りしていること、そしてそのうどんが持つ独特の風味と食感を表現しています。
このキャッチコピーを用いた広告キャンペーンは、多くの顧客に響き、丸亀製麺のブランドイメージを大きく向上させました。
また顧客側から調理の様子が全方向から見られる仕様になっている店舗づくりも、品質の高さを全面に押し出すブランディングの一環です。
森岡氏の戦略は、単に広告のキャッチコピーを変えるだけでなく、店舗の雰囲気やメニュー構成、従業員の教育に至るまで、ブランドに関わるあらゆる要素を見直すものでした。
これらの施策を通じて、丸亀製麺は、価格競争から脱却し、品質とブランド価値を重視する顧客層を獲得することに成功しました。
ネスタリゾート神戸の構築
2018年、森岡氏は経営破綻した年金保養施設の跡地を活用した「ネスタリゾート神戸」プロジェクトに参画し、新たな挑戦を始めました。
このプロジェクトは、単に施設の再建を目指すだけでなく、地域全体の活性化に貢献することを目的としていました。
そこで森岡氏は、この広大な敷地を「大自然の冒険テーマパーク」として生まれ変わらせることを決意しました。
ここでの戦略の肝は、既存の施設や自然環境を最大限に活用し、新しいアトラクションや体験を創出することにありました。
そのために自然の地形を生かした独特のアスレチック施設や、地元食材を使ったレストランなどを導入。都市部からの訪問者だけでなく、地域住民も楽しめる施設を目指しました。
また、森岡氏は、地域との連携を重視し、地元の企業や団体と協力してイベントを開催したり、地域の名産品を販売したりすることで、地域経済の活性化にも貢献しました。
これらの取り組みは狙いどおり、ネスタリゾート神戸を単なるテーマパークではない地域全体の魅力を発信する拠点へと成長させたのです。
結果、ネスタリゾート神戸は、2020年には黒字化を達成し、多くの来場者でにぎわう施設へと生まれ変わりました。
このプロジェクトは、森岡氏の地域再生に対する深い洞察力による成功事例と言えるでしょう。
農林中央金庫バリューインベストメンツの新ファンド設立
同時期、森岡氏率いる株式会社刀は金融分野でも活躍していました。
2019年8月に農林中央金庫バリューインベストメンツと協業し、新ファンド「おおぶね」を設立。このプロジェクトは、短期的な利益を追求する従来の投機とは異なり、長期的な視点に立った価値投資を重視するものです。
森岡氏は、企業の潜在的な価値を見抜き、それを長期的に育成することで、投資家にとって魅力的なリターンを生み出すことを目指しました。
この戦略は、短期的な市場の変動に左右されず、企業の長期的な成長に着目することで、安定した投資成果を期待できるものです。
結果として、「おおぶね」ファンドは、およそ2年ほどで口座数を7倍に、純資産総額を13倍に成長させることに成功しました。
西武園ゆうえんちのリニューアル
西武園ゆうえんちのリニューアルもまた、森岡氏の有名な仕事のひとつです。
ここでも大きな課題は資金不足でした。100億円というテーマパーク再建にしてはかなり限られた予算を逆手にとって、同氏は独特なマーケティング戦略を展開。一般的なマーケターが考えがちなように流行りのコンセプトを導入するのではなく、「昭和の雰囲気」という独自のコンセプトを前面に打ち出したのです。
商店街の風景、店に並ぶ商品、そしてそこで働く人々まで、細部にわたって昭和の雰囲気を再現した新しい西武園ゆうえんちは、まるでタイムスリップしたかのような体験空間となりました。
これが昭和の時代を知る世代にとっては懐かしく、若い世代にとっては新鮮な魅力として受け入れられました。
医療事業への進出:オンライン診療サービス「イーメディカル」
森岡氏は、2022年9月に医療分野にも進出し、オンライン診療サービス「イーメディカル」を開始しました。
このサービスでは、彼のマーケティング理論が医療分野に応用され、患者の立場に寄り添ったサービス提供が実現されています。
とくに患者の利便性を考慮したオンライン診療システムや、継続的な健康管理をサポートするサービスが特徴であり、高い継続率を実現しています。
ハウステンボスの再建
2022年10月、森岡氏はハウステンボス社との協業を開始し、新たな挑戦をスタートさせます。
ハウステンボスの強みである美しい景観やイルミネーション、季節ごとのイベントをさらに強化し、国内外からの観光客を惹きつけるための施策を打ち出しました。
特に、コロナ禍で落ち込んだ観光客の回復を目指し、約1年で入場者数をコロナ禍前の水準に回復させることに成功しました。
また森岡氏は、客単価の向上にも注力し、2桁増という成果を達成しました。さらに、遠方からの来場者を増やすための施策も展開し、全国各地からの観光客を呼び込むことに成功しました。
イマーシブ・フォート東京のオープン
2024年3月1日、森岡氏は新たなプロジェクトとして、「イマーシブ・フォート東京」をオープンしました。
このテーマパークは、従来のテーマパークとは一線を画し、来場者自身が物語の主人公として完全没入できる体験ができる空間です。
イマーシブ・フォート東京は、かつてのヴィーナスフォートの跡地を利用し、その独特な空間を活かして設計されています。
そこで来場者は、まるで映画や演劇の中に飛び込んだかのような体験をすることができ、物語の展開に直接影響を与えることができます。
このテーマパークの最大の特徴は、来場者が単にアトラクションを体験するのではなく、物語の一部となる点にあります。来場者は、他の参加者や俳優たちと協力したり、競い合ったりしながら、自分だけの物語を紡ぎ出すことができるのです。
森岡氏は、この没入型エンターテイメントを通じて、来場者に忘れられない体験を提供し、テーマパークの新たな形を提示しました。
イマーシブ・フォート東京は、エンターテイメントの未来を切り開く、革新的なプロジェクトとして注目されています。
森岡氏のマーケティング手法

森岡氏のマーケティング手法は、一言で表すと「消費者視点の徹底的な重視」にあります。
消費者理解:顧客の心をつかむ
森岡氏は、消費者を理解することを最も重視しています。
「消費者の頭の中を制する」ことがマーケティングの核心であると考え、さらには消費者行動の本能的な側面を分析してます。
これにより、消費者がどのように選択を行うかを明らかにし、効果的なマーケティング戦略を構築しているのです。
データと確率思考:数学的アプローチ
また森岡氏は、数学的アプローチを用いて市場動向を定量的に理解し、効果的な戦略を講じることを得意としています。
消費者が行動を選択する際の確率を数式化し、戦略立案に活用することの重要性を説いています。(以下の画像)
これにより、主観的な判断に頼らず、客観的なデータに基づいて意思決定を行うことができるのです。
※こちらのサイトで森岡氏の提唱する理論の計算が実際に可能です。
仮説と検証:柔軟な戦略修正
森岡氏は、市場分析や消費者調査を通じて立てた仮説をもとに、実際に施策を実行し、その結果を検証します。
その検証によって必要に応じて戦略を臨機応変に修正することで、より効果的な施策を打ち出すことができます。
このプロセスを通じて、市場の変化に迅速に対応し、常に最適な戦略を実行しているのです。
「強み」の活用:独自性を際立たせる
森岡氏は、企業が持つ既存の強みを再発見し、それを最大限に活用することに長けています。
たとえば丸亀製麺では、店舗での製麺という強みを前面に打ち出し、消費者に対する訴求力を高めました。このように、他社にはない独自の強みを活かすことで、競争優位性を確立します。
大胆な価格設定と付加価値の創造:顧客満足度を高める
USJでは、価格を大幅に上げる一方で、ハリー・ポッターエリアの導入や新しいアトラクションの追加など、顧客に高い付加価値を提供しました。
価格は安ければ良い、というものではありません。高い付加価値は、それに見合った価格でないとブランディングとして成功できないものだからです。
これにより、同氏のプロジェクトにおける集客は倍増し、価格と価値のバランスを取ることに成功しました。
森岡氏の苦悩

森岡毅氏は、数々の成功を収めてきましたが、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。
たとえばUSJ時代の再建計画には、第三段階としてテーマパークの多拠点展開がありました。
それは沖縄県への進出計画で、国や県と計画し合意直前まで進んでいました。しかし2015年11月にUSJが米メディア大手コムキャストに買収されたことで、資本の変化に伴う戦略の見直しが行われ、この計画は中止となったのです。
彼は独立後も、沖縄でのテーマパーク計画を続けました。しかし、USJという後ろ盾のない株式会社刀としての資金調達にはとても苦労したようです。
それでも努力が実を結び、目処が立ちそうだったのですが、今度はコロナ禍やウクライナ紛争といった予期せぬ事態が重なり、せっかく集まった投資家や銀行が去ってしまいました。
森岡氏は当時、仲間を勝たせることができない自分に大きな挫折感を味わったそうです。
しかし彼はこの挫折を乗り越え、再び立ち上がりました。沖縄のテーマパーク「ジャングリア」は、ついに2025年7月25日に開業する運びとなっています。
決して諦めなかった結果、ついに実現に至ったのです。
▼参考インタビュー動画はこちら▼
森岡毅氏の手法を自社の戦略に応用しよう!

ここまでご紹介した内容からまとめられる森岡氏のマーケティング手法は、中小企業を含む多くの企業にとって、業績向上のためのヒントとなるはずです。
・顧客がどのような心理で商品を購入しているかを理解する ・顧客の行動をデータで理解する ・顧客がワクワクするポイントを理解する ・自社の強みを理解して、全面に押し出す方法を考える ・低価格化よりも付加価値について考える ・段階的な改善計画 ・まずは自分たちがワクワクするマーケティングを ・決してあきらめない! |
彼の戦略を自社の状況に合わせて応用することで、競争の激しい市場でも優位に立つアイディアを考えましょう!
顧客がどのような心理で商品を購入しているかを理解する
前述のように森岡氏は、消費者の購買心理を深く理解することに重点を置いています。
顧客が商品をどのように選び、どのような感情で購入に至るのかを把握することで、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。
顧客のニーズや欲求を理解し、それに応える商品やサービスを提供することが重要です。
顧客の行動をデータで理解する
データに基づく分析は、森岡氏のマーケティング手法の核心です。
顧客の購買履歴、ウェブサイトの閲覧データ、SNSの利用状況など、あらゆるデータを収集し、分析することで、顧客の行動パターンや傾向を把握しましょう。
これにより、ターゲット顧客を絞り込み、よりパーソナライズされたマーケティング施策を展開できます。
顧客がワクワクするポイントを理解する
森岡氏は、顧客に忘れられない体験を提供することの重要性を説いています。
顧客がワクワクするポイントを理解し、それを商品やサービス、イベントなどに盛り込むことで、顧客の満足度を高め、リピート率を向上させることができます。
顧客の感情に訴えかけるストーリーテリングや、五感を刺激する体験型マーケティングなどが有効です。
自社の強みを理解して、全面に押し出す
森岡氏は、企業の強みを最大限に活用することに長けています。
自社の強みを客観的に分析し、それを顧客に分かりやすく伝えることで、他社との差別化を図ります。
強みを活かした商品開発、サービス改善、ブランドイメージの構築などを考えてみましょう。
低価格化よりも付加価値について考える
価格競争に巻き込まれるのではなく、顧客に提供できる付加価値を高めることに注力することも重要です。
高品質な商品、優れた顧客サービス、独自のブランド体験などを通じて、顧客に「この商品・サービスを選んで良かった」と思わせることが重要です。
段階的な改善計画
森岡氏の改革は、一度にすべてを変えるのではなく、段階的に改善を進めることで成立していることがわかります。
成功体験を積み重ねながら資金をつくり、徐々に大きな目標を達成していくことで、リスクを最小限に抑えつつ確実に成果を上げることができます。
まずは自分たちがワクワクするマーケティングを
森岡氏は、マーケター自身がワクワクするようなマーケティングをすることが、顧客の心を動かす鍵であると述べています。
自分たちが情熱を持って取り組むことで、その熱意が顧客にも伝わり、共感を呼ぶことができるのです。
決してあきらめない!
森岡氏のストーリーからは、困難な状況でも決して諦めずに、目標達成のために努力し続けることの重要性がわかります。
失敗を恐れずに挑戦し、失敗から学び、改善を重ねることで、最終的には成功を手にすることができるのです。
まとめ:森岡毅氏に学ぶ、戦略的マーケティングの本質

森岡毅氏は、現代マーケティングの第一線で活躍する人物であり、数々の実績と手法からは多くのことを学ぶことができます。
USJのV字回復、丸亀製麺のブランド再生、そして地域創生プロジェクトまで、彼の成功は多岐にわたります。
これらの事例から見えてくるのは、以下のような要素です。
・顧客がどのような心理で商品を購入しているかを理解する ・顧客の行動をデータで理解する ・顧客がワクワクするポイントを理解する ・自社の強みを理解して、全面に押し出す方法を考える ・低価格化よりも付加価値について考える ・段階的な改善計画 ・まずは自分たちがワクワクするマーケティングを ・決してあきらめない! |
森岡氏の経験から学ぶべきことは、緻密なマーケティング戦略だけではありません。
常に困難に立ち向かっていく姿勢は、私たちに勇気と希望を与え、自社の戦略を見直し、新たな挑戦へと踏み出す力を与えてくれるでしょう!
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